日経BPコンサルティング調べ 「ブランド・ジャパン2017」調査結果発表  スタジオジブリが2回目の首位。 有職者評価では、6年連続首位の トヨタ自動車に本田技研工業が続く

 株式会社日経BPコンサルティング(所在地:東京都港区)は、今年で17回目を迎えるブランド価値評価調査「ブランド・ジャパン2017」の結果をまとめ、本日(2017年3月24日)、調査報告書を発行・発売する。調査は2016年11月から12月にかけて実施され、回答者数は約5万5千人だった。

【調査結果のポイント】
■スタジオジブリがBtoC編で2006以来2回目の首位
■BtoC編ではYouTube第2位、アマゾン第3位とIT系ブランドが続き、ディズニーが第4位に
■有職者が評価するBtoB編では、トヨタ自動車が6年連続の首位。本田技研工業が続く
■ロイヤルティ項目評価では、ヒートテック、セブン-イレブンなどが高評価

【調査結果より】
■スタジオジブリがBtoC編で2006以来2回目の首位
 BtoC編「総合力」ランキング(図表1)では、92.8ポイント(偏差値)を獲得したアニメーション制作のスタジオジブリが、今回11年ぶりに首位を獲得。第2位には「YouTube」が、第3位には「アマゾン」が入った。このほか、「カップヌードル」が調査開始以来初めてトップ5入りし第5位に、また続く第6位には提供企業である「日清食品」がランクインした。第7位には、前回の第68位から大きく躍進した「ヒートテック」が3年ぶりのトップ10入りをした。

 スタジオジブリは、新作映画「レッドタートル ある島の物語」に先駆け、2016年8月に「スタジオジブリ総選挙」をレッドタートルのWebサイト上で開催した。その結果、「千と千尋の神隠し」が最も票を集め、一週間限定の上映が全国5都市(札幌、東京、名古屋、大阪、福岡)で行われた。また、「スタジオジブリ」の設立から新作までの30年間の歩みと、ジブリの作品作りに対する本気度が伝わる博覧会・展示会を全国5都市(東京、静岡、新潟、愛媛、熊本)で開催した。内、開催2地区の開催施設では、来場者記録を更新した。こうしたファン参加型の施策が総合力を構成する1要素である「フレンドリー」の向上に寄与したと考えられる(図表2)。もう一方の強みである「アウトスタンディング」では、首位を獲得。オリジナルアニメーション映画カテゴリーの草分けでありオーソリティでもあるスタジオジブリであるが、差別性や個性を表す「アウトスタンディング」の高評価をみると、このカテゴリーに対する強い紐づき、いわばブランド・レレバンス(関連性)が非常に高いことが分かる。また、同ブランドの顔である宮崎駿氏が11月に放送されたNHKの特番に出演し、最新の動画制作に関する討論で話題となるなど、作り手の意思を感じさせるコミュニケーションが「アウトスタンディング」の向上に寄与したと考えられる(図表2)。

■YouTube第2位、アマゾン第3位とIT系ブランドが続き、ディズニーが第4位に
 BtoC編「総合力」のトップ10(図表1)を見ると、“ホンモノ感・本気度”という表現で形容したいブランドがある。前回「総合力」首位であった第3位の「アマゾン」は、2016年の日本事業における売上高が約30%増となり1兆円を突破した。また、音声アシスタント機器の“Amazon Echo”やボタンを押すだけで注文が完了する“Amazon Dash Button”といった先進的な商品・サービスをリリースし続け、「イノベーティブ」で首位を獲得した。第4位の「ディズニー」は、東京ディズニーシーが15周年を向かえ、周年限定企画などで上半期は好評を博した。映画事業では2016年の日本の洋画年間映画興行ランキングトップ10において、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が第2位となり、『アナと雪の女王』以来、興行収入100億円突破作品となった他、『ズートピア』、『ファインディング・ドリー』と3作品がランクインした。この評価が反映され、「アウトスタンディング」で第3位、「フレンドリー」で第7位を獲得した。第5位となった「カップヌードル」は2016年に発売45周年を迎え、佐藤オオキ氏デザインの限定パッケージや、世界のカップヌードル総選挙、「ファイナルファンタジー」とのコラボ、カップヌードル謎肉祭の発売といった販促企画を連発。また、甲冑を着たサムライがスポーツに挑戦するシリーズの動画を配信しSNS上で話題となっていた。日本の若者を応援するというコミュニケーションコンセプトが伝わり、「フレンドリー」で第2位となった。

■有職者が評価するBtoB編では、トヨタ自動車が6年連続の首位。本田技研工業が続く
 例年トップ10の順位変動が少なかったBtoB編「総合力」ランキング(図表1)だが今回は半数が入れ替わった。前回からトップ10に残ったブランドは、6年連続首位の「トヨタ自動車」の他、「本田技研工業」「ソニー」「Apple」「パナソニック」といった製造業の5ブランド。トップ10に入ったブランドは、「アマゾン」「セブン-イレブン」「ヤマト運輸」「サッポロビール」「アサヒビール」といった業界の変革をリードする企業となった。これらにも“ホンモノ感・本気度”という言葉があてはまるだろう。

■ロイヤルティ項目評価では、ヒートテック、セブン-イレブンなどが高評価
 消費者との絆を示す指標であるロイヤルティ項目評価を見ていきたい(図表3)。「大ファンである、あこがれている」では、「スタジオジブリ」が首位となった。続く「ソニー」は、2004から2013まではトップ3に入っていたものの、2014以降順位を第20位以下に落としていたが今回は一転、第2位を獲得。第3位の「iPhone」は、2015以降トップ40に入り着実に順位を伸ばしている。「利用(購入)したい」では、「ユニクロ」が2年連続で首位となった。「ユニクロ」の商品ブランドである「ヒートテック」は総合力トップ10に入っている。また「明治」が前回第46位から第4位へ上昇した。「最近使っており、満足している」では、「セブン-イレブン」が2年連続で首位を獲得。「LINE」が前回第33位から第2位と躍進し、通信アプリブランドとしては異例の高順位となった。

 今回のランキング上位企業は、独自性と作り手の熱意を感じさせるイノベーティブな商品・サービスを提供し、親しみや懐かしさを覚えるファン参加型のコミュニケーション施策などを通して、ブランドらしさを上手に伝えている。これは、ブランドづくりにおいて品質の向上のみならずオンライン・オフラインの施策を組み合わせ、世の中の目を惹くコミュニケーションを継続して取り組んできた結果と言えるのではないか。

(石原 和仁=日経BPコンサルティング ブランド・ジャパン プロジェクトマネージャー)

ブランド・ジャパン:
 国内で使用されているブランドを一般消費者とビジネス・パーソンが評価する、日本最大規模のブランド価値評価調査プロジェクト。2001年に第1回調査を実施し、今回が17回目。一般消費者から回答を求める「BtoC(コンシューマー市場)編」(調査対象1,000ブランド)と、有職者にビジネス・パーソンとしての立場から回答を求める「BtoB(ビジネス市場)編」(同500ブランド)から成る。第2回から調査フレームを固定しているため、過去16年分について同一観点で比較可能である。
 BtoC編では企業ブランドと製品・サービスブランド合わせて1,000ブランドを対象に調査した。ブランド価値の「総合力」を算出する際に、「フレンドリー(親しみ)」、「コンビニエント(便利さ)」、「アウトスタンディング(卓越性)」、「イノベーティブ(革新性)」という4指標を採用した。
 BtoB編では500の企業ブランドを対象に調査した。ブランド価値の「総合力」を算出する際に、「先見力」、「人材力」、「信用力」、「親和力」、「活力」の5指標と5つの「企業評価項目」を採用した。調査概要は、別紙の「調査の構成と概要」と「特別顧問およびブランド・ジャパン企画委員会」を参照。

日経BPコンサルティング:日経BP社全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9,000万円)