【ヒトりヒトりの笑顔のために】遠藤貴博氏インタビュー第2話「マニュアルはいらない」

■遠藤貴博 | プロフィール
遠藤社長

 1971年川崎市に生まれ、埼玉県で育つ。現在、有限会社カミナリ屋代表取締役。高校卒業後、時計販売、トラック運転手を経て、独立を視野に居酒屋チェーンを運営する株式会社モンテローザ入社。27歳の時に独立を決心し、埼玉県志木でカミナリ屋を開店。現在は埼玉県を中心に都内含め14店舗を運営。http://homepage3.nifty.com/kaminariya/

 

今回は、遠藤貴博氏のインタビュー(全3話)の第2話「マニュアルはいらない」を紹介していきます。

マニュアルはいらない

 「こうやらなきゃいけない」って言われるのが嫌。従業員が自分で物事を考えられる会社にしたいから、マニュアルは作らない。と、遠藤社長。

 

 店長が「白」なのに、他のスタッフが皆「黒」という会社はないだろう。店長が「白」であれば、自然に他のスタッフも白に染まっていくはずである。明るく元気に「いらっしゃいませ」と言えば、他のスタッフも言うようになるだろうし、それはマネしていくものである。そうやって、社風が作られていくものだという。

 

 そうは言っても、教え方がなければ難しいと感じるが、教え方も決まっていないと遠藤社長は言う。

 

 「この店ダメだね」というとき、その店のトップには辞めてもらう。店が長すぎて要領覚えてしまい、お客様を喜ばすということがわからくなってしまっているから、その時は辞めてもらう。そして、なぜ辞めてもらうかの理由をきちんと話す。という。
 そうする方が早い。そして、この店が求めている人を店長にする。そうすれば、その店長のコピーとなるスタッフが生まれ、良い環境が再構築できるからだ。

 

 また、作業は二の次だという。

 居酒屋に来たお客様からすれば、「あなた仕事早いわねぇ」なんて評価はしない。当然早出し等は必要で、店として徹底はするが、お客様がどこを見ているかというと、店員の笑顔であったり元気であったりする。だから、作業を教えるという観点は二の次になるという。

 

教育方針

 新店舗をオープンする際、方針は会社が決めるが、メニューは店長が自分で決めるという。自分で決めて、判断してやったことなので、責任が持てていい。不安はあるだろうが、あとは様子見ながらオススメ料理で遊べばいいわけだし、担当者がお客様が喜ぶことを自分で考えればいい。

 

 そうはいえども・・・

 社長からみて「そうじゃないだろ」という場面はどうするのか。

 

 違うということをどう伝えるのかはとても難しいので、一緒にケガをして教えるしかない。彼らは将来独立しようとしている人ばかりなのだから、ケガはどこかでしないといけない。それが本人の成長になるからという。

 

 また、気付きを与えることも大事。

 営業中に遠藤社長がお店に行き、店長に対して「席に座ってみて」「作ってるものを食べてみて」とはよく言うそうだ。お客様の目線で何が見えるのか、味はどうなのか、確かめさせることをさせている。普段営業中には気付かないことを、お客様目線で気付かせてあげることもしているそうだ。

 

こんぺいとう

写真:茗荷谷「串焼きと気軽ワイン こんぺいとう」

編集後記

 マニュアルを作らず、自分で物事を考えることのできる人間を作る。そのための教育コストは惜しまないというポリシーを持つ遠藤社長。地道に向き合い、気付きを与え、それに応えてくれるスタッフをまた希望の種として伝播させ、新しいお店づくりを行っていく。教育は難しいと言われるが、コンセプト、ポリシーを持ち、理想とするものを地道に伝えていくことが大事だということを、改めて遠藤社長から学んだ。

(事務局:中小企業診断士 平井彩子)